ケアマネージャーに独学で合格する方法

介護支援分野

(1) 保険制度を理解

 

介護保険は、「保険」です。

 

保険を国が制度化し、
国民に加入させる形態のものを「社会保険」といいます。

 

つまり、介護保険も、日本の社会保険制度の一つです。

 

社会保険制度の場合、年齢や仕事の有無など、
法律で一定の条件に当てはまる国民は加入が義務付けられています。
これを「強制適用」といいます。

 

保険の仕組みは、「助け合い制度」ということができます。

 

歴史的には、古代ギリシャ時代の貿易商人たちの間で広まったそうです。

 

保険制度の起源

 

保険制度の起源はギリシャだといわれています。

 

古代ギリシャでは、都市国家間で船を使った交易が行われていましたが、
当時は天気予報も羅針盤もなく、
船はしばしば難破し、貴重な商品や船員の尊い命が
幾たびも失われるなどしていました。

 

このようなことが繰り返される中で、何らかの対策をしなければと、
貿易商人たちが、集まって相談したところ、
名案が浮かびました。

 

その名案が、保険制度の起源となっているものです。

 

商売の上ではライバルの貿易商人たちでしたが、
貿易船の難破に備え、ライバル関係を超えて組織をつくり、
その組織にあらかじめお金を出し合ってためておき、
船が難破してしまった場合は、
その組織から船主である商人に、
失われた商品の代金と遭難した船長の家族への
保証金を出すという取り決めをしたのです。

 

これが保険制度の起源であり、
現代の保険の仕組みの基礎となっているものです。

 

あらかじめ一人では対処できない事故の補償を想定し、
関係する仲間でお金を出し合い準備しておく、
そのお金は信頼できる組織が管理する、
事故の際には、組織が事故に遭った仲間に補償するという仕組みです。

 

お金を出し合う仲間は保険の加入者です。
そして、保険の対象になる人なので、「被保険者」といいます。

 

仲間で払うお金は「保険料」です。

 

そのお金を集めて管理し、
万が一の事故が起こったときに補償する組織が「保険者」です。

 

また、補償の対象となる事故を「保険事故」といい、
保険による何らかのサービスが行われる(補償が行われる)ことを
「給付」といいます。

 

このように、古代ギリシャの貿易商人たちが、
保険者・被保険者・補償・補償事故・保険料・・・という
保険制度の仕組みを構築していったのです。

 

(2) 介護保険制度の基礎

 

保険者

 

介護保険の保険者は、市町村です。
東京都では、特別区:23区も保険者です。

 

介護保険制度は、市町村・特別区が保険料を集めます。
そして、それを財源として介護サービスのためのお金が賄われます。

 

被保険者

 

介護保険に加入が強制される被保険者は、以下の2種類があります。

 

@ 第1号被保険者:65歳以上

 

A 第2号被保険者:40歳以上65歳未満の医療保険加入者

 

該当する人は、住んでいるそれぞれの市町村・特別区を保険者として
介護保険に加入します。

 

また、被保険者が2種類に区分されるのは、
保険料の金額や支払い方法、保険事故の規定が異なっているためです。

 

保険料

 

*第1号被保険者

 

第1号被保険者の保険料は、市町村ごとに設定されます。
所得(65歳以上の場合は通常年金)の差を踏まえ、
個別に算定されます。

 

支払い方法は2通りあります。

 

@ 公的年金の受給額が年額18万円以上の場合

 

「特別徴収」=支給される年金から天引きされ、市町村に納付される方法

 

A 公的年金の受給額が年額18万円未満の場合

 

「普通徴収」=保険者からの請求書が送付され、
市町村の窓口や金融機関で各自が支払う方法

 

*第2号被保険者

 

第2号被保険者の保険料は全国一律に設定されます。

 

実際には各自が加入している医療保険(健康保険や国民健康保険など)の
保険料と共に算定されます。

 

そして、医療保険料に含まれる形で支払うことになります。

 

この保険料は、定期的に改定されます。
その頻度は、第1号被保険者については3年ごとに、
第2号被保険者では年度ごとになります。

 

保険事故

 

介護保険を使って介護サービスを利用できるのは、
保険事故が起こったことを保険者である市町村や特別区が認めたときです。

 

その意味で、保険事故の理解はとても重要です。

 

介護保険は、以下の2点を保険事故としています。

 

これらに該当しない場合は、介護保険サービスを利用することができません。

 

@ 介護は必要としないが、
 何らかの支援が必要な状態になったこと(要支援状態)。

 

A 看護が必要な状態になったこと(要介護状態)。

 

つまり、比較的軽い状態が「要支援状態」、
より重い状態が要介護状態となります。

 

第1号被保険者の場合には、
どんな病気や怪我が原因であっても、
実際に要介護状態や要支援状態となっていれば
保険事故であると認められます。

 

ですが、第2号被保険者の場合、
原因となった病気が法令で定められている「特定疾患」に該当しなければ、
保険事故であるとは認められません。

 

*特定疾患*

 

 @ 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
 A 後縦靱帯骨化症
 B 骨折を伴う骨粗鬆症
 C 多系統萎縮症
 D 初老期における認知症
 E 脊髄小脳変性症
 F 脊柱管狭窄症
 G 早老症
 H 糖尿病性神経障害・腎症・網膜症
 I 脳血管疾患
 J 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症
 K 閉塞性動脈硬化
 L 関節リウマチ
 M 慢性閉塞性肺疾患
 N 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
 O (いわゆる)末期がん

 

 

(3) 要支援状態と要介護状態

 

要介護認定という独自の仕組みを用いている点は、
日本の介護保険制度の最大の特徴となっています。

 

要介護認定は、要介護の程度を
その客観的なデータから測るために開発されたしくみで、
国際的にも珍しいものです。

 

要支援状態と要介護状態の区分

 

要支援状態や要介護状態であるかどうかは、
明確な基準が必要です。

 

介護保険制度では、要支援状態に2区分、
要介護状態に5区分のクラス分けが行われています。

 

*要支援状態

 

要支援1: 介護は必要ないももの、生活の一部に支援が必要な状態です。
      介護サービスを適応に利用すれば、心身の機能の改善が見込まれる状態です。

 

要支援2: 要介護1と同じような状態ではあるものの、  
     介護サービスを適応に利用すれば、心身の機能の改善が見込まれる状態です。

 

*要介護状態

 

要介護1: 立ち上がりや歩行が不安定で、
     排泄や入浴などの部分的な介助が必要な状態です。

 

要介護2: 立ち上がりや歩行などが自力では困難な状態です。
      排泄や入浴などの一部、または全面的な介助が必要な状態です。

 

要介護3: 立ち上がりや歩行などが自力ではできない状態です。
      排泄や入浴、衣服の着脱など全面的な介助が必要な状態です。

 

要介護4: 日常生活のうえでの能力の低下がみられ、
     排泄、入浴、衣服の着脱など全般に全面的な介助が必要な状態です。

 

要介護5: 日常生活全般について、全面的な介助が必要な状態です。
     意思の伝達も困難となる状態も含みます。

 

要介護認定の過程

 

被保険者→市町村・特別区に申請(代行可能)→主治医の意見書
 →介護認定審査会(保健・医療・福祉の学識経験者)による審査判定
 →審査判定結果=二次判定→認定

 

被保険者→市町村・特別区に申請(代行可能)→認定調査→一次判定
 →介護認定審査会(保健・医療・福祉の学識経験者)による審査判定
 →審査判定結果=二次判定→認定

 

 

*要介護認定では、結果に有効期間が設定されています。
 これは、高齢者の状態が変化することを想定しています。
 定期的な見直しが必要となるために設けられている措置です。
 有効期間は、通常は以下のように設定されています。

 

 ・新規認定=原則6ヶ月→特に必要な場合=3〜6ヶ月の間で設定
 ・更新認定(要支援→要支援)=原則12ヶ月→特に必要な場合=3〜12ヶ月の間で設定
 ・更新認定(要支援→要介護)=原則12ヶ月→特に必要な場合=3〜24ヶ月の間で設定
 ・更新認定(要支援⇔要支援)=原則6ヶ月→特に必要な場合=3〜12ヶ月の間で設定

 

 このように設定されていますが、原則として設定されている期間よりも、
短縮されたり、延長されたりして認定される場合もあります。

 

 短縮されて認定される例: 現在入院をしていて近々退院するようなときや、
             病気になって間もないとき、
             病状が変動しやすい病気のときなどがあります。

 

 延長されて認定される例: 重度の介護を要する高齢者で
             回復が難しいと思われるようなときなどがあります。

 

 このように、短縮されたり、延長されることもありますが、
いずれにしても切れ目のないように要介護認定を受けていないと、
介護サービスを利用することができなくなります。

 

ですから、ケアマネージャーには、その更新の手続きの援助をすることも大切です。

 

その手続きは、有効期限が切れる60日前から30日前までに行うことが必要です。

 

要介護状態などの認定(要介護認定)

 

@ 要介護認定の申請

 

・ 被保険者(高齢者)が保険者に書類を提出し、
 要介護認定の申請をします。

 

・ 家族や大部分の居宅介護支援事業者や介護保険施設は、
 この要介護認定の申請の代行ができます。

 

A 保険者による主治医意見書の依頼・認定調査の実施

 

・ 申請を受け付けた保険者は主治医に意見書を依頼します。
 この意見書は、全国一律の様式で、医師の診断書のようなものです。

 

・ 保険者の職員が高齢者のもとへ訪問し、
 心身の状況に関する調査を行います。
  この調査のことを「認定調査」といいます。

 

  認定調査の方法や調査項目は、全国一律で、
 厚生労働省が細かく決めています。

 

B 一次判定

 

・ 認定調査の結果をもとに、
 コンピュータシステムによる厚生労働省の定めた方法で
 統計的な計算を行います。

 

  この計算で、要介護認定のさしあたりの判定をします。

 

  そして、ここで、「要支援○」、「要介護○」といった目安が示されます。
 コレを一次判定といいます。

 

  この一次判定は、認定調査をデータ化した機械的な判定です。

 

C 介護認定審査会による二次判定

 

・ 保険者ごとに、介護認定審査会という有識者の委員会が設けられています。

 

  有識者の委員会は、市町村・特別区の職員ではなく、
 有識者に行政が委託する形で組織されています。

 

・ 二次判定では、一次判定結果をもとにして、
 主治医の意見書の記載内容と、
 認定調査時の個別的な状況を示した特別事項を加味しながら
 検討を行います。

 

  この検討の結果、「要支援○」、「要介護○」という結論を出します。

 

・ 要介護認定の結果には、有効期間も設けられています。

 

  初めて申請した場合は、原則として6ヶ月の有効期限になります。
 しかし、状態の変わりやすい高齢者だと考えられる場合などは、
 3ヶ月まで短縮することもあります。

 

  このような有効期間についても検討を行い、 
 適切な期間を○ヶ月という形で結論を出します。

 

D 認定

 

・ 介護認定審査会による二次判定結果をうけて、
 保険者が要介護認定の結果を認めます。

 

  この認定結果を高齢者に通知することにより、
 要介護認定の結果が確定します。

 

・ 要介護認定の結果が、申請をした被保険者(高齢者)に通知されます。

 

・ 要介護認定までの期間(日数)は、被保険者に対し、
 原則として申請から30日以内とするように規定されています。

 

E 更新の認定

 

・ 継続的に介護サービスを利用するためには、
 要介護認定の有効期間が切れ目なく続いていることが必要です。

 

・ 有効期間が終わる前(原則として30日前まで)に、
 次回の要介護認定の手続きをすることが必要です。

 

  これを更新認定の申請と呼びます。

 

・ 更新認定でも、@〜Dまでとまったく同じ手続きを行う事が必要です。

 

・ 更新認定の場合、Aにおいての認定調査は、
 保険者から居宅介護支援事業者や介護保険施設などに委託される場合もあります。

 

  このとき、保険者から委託を受けた事業者・施設では、
 そこに勤務しているケアマネージャーが認定調査を行わなければなりません。

 

・ 更新認定における要介護認定の有効期間は、
 原則として12ヶ月になります。

 

  ですが、状況によって3ヶ月まで短縮されたり、
 24ヶ月まで延されるなどします。

 

(4) 介護サービスの利用

 

要介護認定が行われたら、いよいよ介護サービスの利用、
つまり、給付が可能となります。

 

ケアマネージャーにとって、制度の知識は必須です。
介護が必要になった高齢者やその家族の相談を受けるときに必須です。

 

 

・保険給付は、介護サービスの費用の9割が対象となります。

 

 ですから、高齢者の自己負担は、サービスにかかる費用総額の1割です。
 (定率1割の負担)

 

・要介護認定の結果により、保険の給付として使うことができる
介護サービスの種類や量(回数など)が変わります。

 

・要介護認定の効力は、認定された日から有効になるのではありません。
申請日にさかのぼって有効となります。

 

 ですから、緊急の場合などは、要介護認定の申請をした上で、
おおよその認定の結果の見通しを立てておくことで、
認定の結果が出ていなくても申請日から介護サービスを利用することが可能です。